タイトル:「能を知る会」横浜公演の観劇
■主催者 :(公財)鎌倉能舞台
日時:2018年3月12日(月)14:00~17:00
場所:横浜桜木町 「横浜能楽堂」
写真撮影:駒井壮介/提供:鎌倉能舞台
■「能を知る会」公演パンフレット | ■願書を読み上げる覚明(シテ) | ■覚明(シテ)による男舞 |
※シテ・・・主役
■今回の部会は「伝統文化プロジェクト」―クリエイティブ部会―の開始にともない「能を知る会」横浜公演を観劇しました。
■公演プログラム
・講演「三読物について」: 小林健二(国文学研究資料館教授)
(勧進帳・起請文・願書)
・仕舞「兼平、巴 観世喜正、観世喜之」
・狂言「宗論」:山本泰太郎、山本則孝
・能 「木曽(願書)」:中森貫太(字幕解説付き)
・質疑応答:中森貫太
■講演:三読物について(勧進帳・起請文・願書)
能の中で、三読物と呼ばれる安宅「勧進帳」・正尊「起請文」・木曽「願書」の内容や歴史について解説して頂きました。
事前に解説を聞く事で、後の講演「木曽(願書)」について理解しながら観劇することができます。これらの演目は、それぞれの名文を朗々と読み上げる難しい演目で、特別な訓練が必要ということです。
■狂言:「宗論」山本泰太郎、山本則孝
旅の浄土僧と法華僧が宿屋で宗論を繰り広げるも、言い争ううちにお互いの宗旨を取り違える言い間違いをしてしまったことから、信仰に違いはないと悟り、仲直りをするというお話です。
字幕解説無しですが、理解し易いないようで楽しむ事ができました。
■能:「木曽(願書)」覚明(シテ):中森貫太(字幕解説付)
木曽義仲の物語ですが、シテ(主役)は軍師の覚明で、必勝祈願の願書朗詠、戦勝祈念酒宴の男舞がクライマックスです。
男舞は、僧侶の衣装である長袴(足先1m以上)を履いてのダイナミックな踊りで、足さばきなど非常に難しいとのことです。
■質疑応答: 中森貫太
公演直後にも関わらず、シテの中森貫太さんが直接舞台で質疑応答に対応いただき、初心者から、能に詳しい人まで各種質問に30分以上回答されていました。この質疑応答で、能の歴史や演目の難しさなど、より理解が深まり大変有意義でした。
■舞台配置 | ■小林教授のご講演 | ■狂言「宗論」舞台の様子 |
スクリーンを正面と横用に2台設置し、プロジェクタで裏から字幕を投影し、講演時や能の解説を表示しています。狂言は分かり易いストーリーなので字幕なしでも充分楽しむ事ができます。
■能:必勝祈願の願書読み上げシーン
■字幕の様子(能「木曽」シテ:中森貫太)
物語の進行に応じて、日本語と英語の解説字幕を表示しています。内容は、セリフそのものではなく、状況が分かり易いような解説です。セリフそのものを表示したり、詳しい情報を表示すると、字幕ばかり見てしまい舞台に注目できなくなるので、表示内容は吟味が必要とのことでした。(スマホを使うと手元ばかり見てしまうので良くない。)
能に詳しい方からは、字幕が目に入って観にくいという意見もあり、表技協会員みなさまからのアイデアに期待しているとのことです。一点町田会長より、画面切り替えの際にフェードを掛けると、切り替えが滑らかになり、画面の切り替わりが目立たなくなるのでは、という提案をしています。
■公演後の中森貫太様による質疑応答
■横浜能楽堂エントランス写真撮影
■中森貫太様を囲んだ記念撮影■
伝統文化プロジェクトの開始ということで、はじめて能を観劇する会員も多かった今回、解説や字幕の演出のおかけで、入り易く、大変面白く観劇することが可能となりました。今後も様々な形で「伝統文化」と「最先端表現技術」の融合に挑戦していきたいと思っております。会員の皆さまの積極的な参画をお待ちしております。
またご招待のみならず当日の記念撮影や、公演写真の提供など大変お世話になりました「鎌倉能舞台」様にこの場をお借りして御礼申し上げます。(事務局富澤)